青梅聖天社

取材を終えて、家に帰ってから、愛蔵書の『新編鎌倉志』をひも解いてみました。


『新編鎌倉志』巻の三
◎靑梅聖天
靑梅聖天(アヲウメノシャウデン)は、雪下より小袋坂へ登る左に小坂あり。巖窟の内に聖天の宮有。故に坂を聖天坂と云ふ。是を靑梅の聖天と云事は、俗に傳ふ、鎌倉の將軍、一日疾(やま)ひ劇(はなは)だしふして、時ならず靑梅を望まる。諸所を尋ぬるに、此宮の前に俄(には)かに靑梅實のる。是を將軍に奉て、終に疾ひ愈(い)へぬ。故に名くと。

 むむ、青梅聖天社、入口の鳥居の見かけとは大違いの由緒ある神社のようです。しかも、ネットのガイド(鎌倉タイム)によれば「本尊の双身歓喜天は南北朝時代の作とされ、男神と女神が相抱き正立して顔を見つめ合う珍しい像です」とのこと。これは参拝をパスしたのは大失敗。ということで再訪問することにしました。

 しかし、それにしても、ご本尊の「双身歓喜天」とはどういう像なの? そもそも「歓喜」とはエクスタシーでしょう。「双身」? いったい『新編鎌倉志』の縁起とはどういう関係があるのだろう。「歓喜天」でイメージされるものといえば、インドのヒンズー教や、密教の妖しくセクシーな像。そして密教仏典『理趣経』の「妙適淸淨句是菩薩位」(男女交合の妙なる恍惚は(ですら)、清浄なる菩薩の境地である」の文言です。(すみません、仏教経典に興味があって読み漁った時期がありまして、これについては別メニューのお話にしたいと思います)
 ああ、妄想が妄想を呼び、頭の中がぐじゃぐじゃになってきそうです。
 それでは、いざ靑梅聖天社へ!


入口の鳥居ふたたび……
見かけは、ただの(いや失礼!)村の鎮守様風です。


苔むした石段……
なかなか風情がありますね。


二の鳥居が見えてきました。その辺りに本殿があるのでしょうか。いよいよ「双身歓喜天」様を拝見できるのかと思うと……、「双身」男女が交……、「歓喜」エクスタシー……。頭の中に妄想が渦巻いています……


あ、社が見えてきました! あそこが本殿でしょうか。


本殿のようです。質素というか、素朴というか……
こんなところに、はたして……

あ、大きな南京錠が……

しっかりと施錠されています。

しかし、格子のガラス窓から中を拝謁できるかも……

せめて、その妙なるお姿だけでも……(いよいよ妄想が乱れ渦巻いています)

ああ……

なんと……

社の中に、もう一枚の扉があって、そこも施錠されているではありませんか。
(誰もいないからいいものの、ガラスに顔を押し付けて……、人にはお見せできない恰好でございます)

そりゃあそうですよね。南北朝時代ですよ。そんな時代の像が、こんなオンボロ社に(またまた失礼!)、ぽんと置いてあるわけないですよね。
はい、そんな気がしてました。正直、想定内です。
しかし、これだけ厳重に施錠されているということは、それだけ貴重なものという証でしょう。妄想力には自信がありますが、残念ながら、透視、念視の力はありません。扉の向こうに熱い想いだけを馳せて……

仕方ありません。今回はこれで引き下がりますが、靑梅聖天の「双身歓喜天」
おそるべし!
必ずリベンジします!

乞うご期待!

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