5.著作のこと

『金星が見える時』「まえがき」に代えて(1)

原発は段階的廃止ではなかったのか?

 原発は、絶対必要と考える人、絶対反対の人、いずれは脱原発すべきだが代替エネルギーが確立するまでは稼働させざるを得ないと考えている人、好ましくないが原発は止められないと考える人、等々、さまざまです。と言うと、「ああ、原発の話なんだ」と思われるかもしれません。半分そうですが、半分は違います。もう半分は何か? それは読んで感じていただけれると嬉しいです。

 石油、天然ガスなどの化石燃料が限られた資源であること、そして世界的にCO2削減が叫ばれるようになり、日本のエネルギーは火力発電から原子力発電に切り替わりつつありました。

ところが2011年の東日本大震災による福島第一原発の事故で、原発は危険なものという認識が広まり、いったんすべての原発が停止しました。


しかし菅総理が「脱炭素社会の実現」を宣言したとき、あ、原発を再稼働させようとしているな、と思いました。CO2を出す火力発電に、いつまでも依存できない。かといって自然エネルギーだけでは電力需要を賄えない。「じゃ、どうするか? 原発再稼働しかないでしょう!」という、林先生式論法です。

そしてウクライナ紛争が起き、ロシアの天然ガス供給が不安定になり、サハリン2が国有化される前後から、菅政権の跡を継いだ岸田総理は原発再稼働を公言するようになりました。


原発は再稼働のみならず新増設の動きも加速するでしょう。そして「原発推進」と「脱原発」のイデオロギー対立は、ますます深まるでしょう。ならば、それぞれが是とする道を歩めるよう住み分ける世界を設定し、その物語の中で、新たなエネルギー社会をシミュレーションしてみたのが『金星が見える時』です。
 物語は東日本大震災から47年後。近未来の若者たち、恋人たちが、原発推進州と脱原発州に分断された社会の狭間で揺れながら未来を模索します。ここから先は、下リンク先の「本の内容紹介」をご覧ください。(無料で試し読みもできます)


紙の本はコチラ


電子書籍はコチラ

国立国会図書館コチラ

『金星が見える時』「まえがき」に代えて(2)につづく



ピックアップ記事

  1. ショートショート『渚にて』
  2. 江ノ電鎌倉発0番線
  3. 竜の棲む岬
  4. 『金星が見える時』「まえがき」に代えて(1)
  5. 【連載小説】『俥曳き俊輔の逡巡』(全話)

関連記事

  1. 5.著作のこと

    『江の島弁天橋屋台の灯』メディアでの紹介

    湘南経済新聞Yahoo!ニュース藤沢市情報誌…

  2. 5.著作のこと

    『オリンポスの陰翳』発売のお報せ!

      お待たせしました。拙小説『オリンポスの陰翳』が発売となり…

  3. 5.著作のこと

    蓮池(総集編)

    藤沢の鵠沼に蓮池があります。初めて訪れた時、子供たちがザリガニをとっ…

  4. 5.著作のこと

    【連載小説】かつて、そこには竜がいた(3)

    この記事は前回からの続きです。■これまでの全文はコチラ…

  5. 5.著作のこと

    海底の青磁(公開のお報せ)

    舞台は鎌倉稲村ヶ崎サーファーと考古学者の出会い …

  6. 5.著作のこと

    ウクライナ情勢に想うこと(5) – 空気の変化 –

    世の中の空気の変化を感じた日 マリウポリが陥落するかどうかと…

  1. 1.鎌倉のこと

    源実朝の謎(1) これが実朝の墓?
  2. 5.著作のこと

    ラフカディオ・ハーンの見た鎌倉・江ノ島(総集編)
  3. 5.著作のこと

    森園知生の著作一覧
  4. 2.江ノ島のこと

    江ノ島に架ける橋
  5. 1.鎌倉のこと

    鎌倉の切通しシリーズ総集編
PAGE TOP