5.著作のこと

国旗損壊罪という法律(1)

国旗の損壊は良くない。でも刑法で処罰すべきことか?

今、国旗損壊罪という法律が国会で制定されようとしています。

国旗を損壊してもよいと考えている人は、それほど多くはないでしょう。ですので「国旗を損壊することは良くないことですか?」と尋ねれば、多くの人が「良くない」と答えると思います。現在行われている国旗損壊罪に関する世論調査で、法制定に「賛成」と答えている人の中には、「国旗は大切に扱うべき」という趣旨で賛成している人が少なくないのではないでしょうか。


「社会調査支援機構チキラボ」より

しかし、質問が「国旗を損壊した人を刑法で処罰すべきですか?」となれば、回答は変わってくるように思います。
そもそも私は、国旗を損壊することの是非は、モラル(道徳)マナーに関わる「心の問題」だと考えています。

「敬老」は国家強制ではないよね?

例えば、「敬老の日」は、「多年にわたり社会に尽くしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを趣旨としています。この理念には多くの人が賛同するでしょう。しかし、もし「高齢者を敬わない人は刑法で罰する」という法律を制定しようとしたらどうでしょう? おそらく違和感を覚える人が多いのではないでしょうか。

それは、「敬老」という行為が、法律によって強制されるものではなくモラル(道徳)マナーに属する「心の問題」だからではないでしょうか。

モラルやマナーは法律で規制されるべきか?

では、なぜ今、国旗損壊罪を新たに制定しようとしているのでしょうか。

海外では、暴動や抗議活動の中で国旗が焼かれる映像を目にすることがあります。しかし、そのような行為が日本国内で頻発し、社会問題となっているでしょうか。「このままでは放置できない」と多くの国民が危機感を抱くような状況が、あるのでしょうか。もし本当にそのような事態が生じているのであれば、その時点で法律制定の必要性、是非を議論すればよいはずです。


先の衆院選で、高市首相は、街頭演説や党大会で「国旗・国歌への敬意を守る法整備の必要性」を訴えていました。これは唐突に言い始めたことではなく、以前から国旗損壊罪の創設を主張しており、長年の「悲願」と、ご自身でも言われています。

『正論』2018年10月号より

私自身も、「国旗は大事にしなければいけないでしょ!」と言われれば、それはそうですよね……と、思います。でも「だったら、国旗損壊したら、法律で罰します!」と言われたら、それはちょっと違うな……、という感情が湧きます。
その心は何か?
それは刑法の刑罰の対象になるようなものではなくモラル(道徳)やマナーに基づく「心の問題」であるからだと思うのです。

親愛、敬愛、尊敬は心の中から湧くもの。国を愛する気持ちも同じ。
国家や法律で強制されるべきものではないのではないでしょうか。

提供は「森園知生の小説工房」でした。

国旗損壊罪という法律(2)続く

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