鎌倉ペンクラブに入会
わたくし事ではありますが、このたび伝統ある鎌倉ペンクラブに入会させていただきました。
鎌倉ペンクラブの歴史
鎌倉ペンクラブは1936年、久米正雄を初代会長として、大佛次郎、里見弴、川端康成、小林秀雄、大岡昇平、横山隆一といった錚々たる鎌倉文士が結成した文化サロンです。

文士たちが互いに刺激を与え合い、鎌倉という土地に独自の文学的精神を育んだ場として知られています。
ペンクラブメンバーによる鎌倉文庫の会合 (里見邸で、昭和21年頃)
左から真船豊・大佛次郎・里見弴・久保田万太郎・川端康成・中山義秀
戦後しばらく活動が途絶えていましたが、鎌倉の文化を未来へ継承するべきだという思いから、伊藤玄二郎氏(かまくら春秋社)が中心となって再興しました。
創設期の文士たちの精神を大切にしながら、現代の作家・研究者・文化人が集い、鎌倉の文学と芸術を次世代へ伝える場として活動を続けています。

現在の会長、朝比奈恵温氏

副会長、藤沢周氏
入会の挨拶文を会報(No35)に掲載いただきました
光と影の鎌倉から
森園知生(作家)
このたび、朝比奈会長のご推薦を賜り、鎌倉ペンクラブに入会させていただくことになりました森園知生と申します。歴史と文化の薫り高い鎌倉にゆかりのある皆様の末席に連なることを、大変光栄に存じます。
私は1985年より鎌倉七里ヶ浜に居を構え、以来この地で暮らしてまいりました。会社勤めのかたわら、若い頃は学生時代の後輩たちとサーフィンやウインドサーフィンに興じ、やがて「えのしま探検隊」と称して、その仲間たちと江の島周辺を探索したり、野外宴会などしていました。やがて、それだけでは飽き足らず、季刊の冊子『探検隊』を発行したのが文章を書くことの原点です。1988年創刊、約8年間で三十号ほどを重ねましたが、その経験が現在の創作活動へとつながっております。その『探検隊』にエッセイや短編小説を掲載するうち、長編小説も書くようになり、やがて文学賞にも応募するようになりました。第八十八回オール讀物新人賞では『江ノ電鎌倉発0番線』が最終候補に残りましたが、受賞には至りませんでした。もっとも、この経験が創作への意欲をさらにかき立てる契機となりました。2018年に自動車メーカーを退職して以降は、時間的な余裕もできたため、腰を落ち着けて小説執筆に取り組んでおります。
作品の多くは、鎌倉や湘南を舞台としています。湘南といえば、明るい陽光、海、マリンスポーツといった開放的なイメージが先行しますが、その一方で、歴史の陰影や土地の記憶が色濃く残る場所でもあります。特攻基地の跡や中世のやぐら、谷戸の静けさ、夕暮れの海辺に立つときに感じる得体の知れない気配――そうした「光と影」の両面を描くことが、私の創作への向き合い方です。
また、戦争という題材も大事にしております。戦争は決して繰り返してはならないものですが、「戦争は嫌だ」といった感情論だけで防げるものでもありません。その矛盾や葛藤が、作品を書くうえでの問いであり、原動力でもあります。
さらに歴史小説を書いたとき、「これは史実ですか?」と質問されることがあります。「過去の出来事」はタイムマシンで見てこない限り、誰にもわからないものです。歴史学者の唱える「定説」はありますが、覆されることもあり、絶対ではありません。断片的な史料を「点」とし、人物の人柄や置かれた状況から行動や結果という「線」を描き出すこと、それが私にとっての歴史小説です。
鎌倉という土地に暮らし、そこで育まれた感性を磨きながら、今後も創作に励んでまいりたいと存じます。また、作品や活動については、ホームページ「森園知生の小説工房」でもご紹介しております。何卒ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
●これまでに刊行した著作
『オリンポスの陰翳』(湘南社)
『江の島弁天橋屋台の灯』
『ラフカディオの旅』
『ひぐらしの啼く時』
『竜の棲む岬』
『金星が見える時』(以上、Amazon Kindle)












