5.著作のこと

殉教の旅(4)― 長崎・五島(その4) ―

久賀島

地図(五島全体)コチラ


旧五輪教会の水彩画風イメージ


窓はポインテッドアーチ型(尖頭アーチ型)
④五輪地区(「その3」からの続き)
旧五輪教会堂は、浜脇教会の建て替えを機に、五輪地区に譲り受けたものです。
1881年(明治14年)に浜脇教会として久賀島の浜脇に建てられたものが、1931年(昭和6年)に現在地に移築されました。旧五輪教会堂は以後約50年間、五輪地区と蕨小島の信徒たちの信仰のよりどころでしたが、老朽化のため1985年(昭和60年)、すぐそばに五輪教会が新築され、教会の役目を終えました。
この時点で解体の話が持ちあがりましたが“貴重な文化財として、価値ある建造物を守ろう”との関係者の熱意と地元信徒たちの協力によって解体の危機を乗り越え、当初の姿で保存されることになりました。建物は福江市(現五島市)に寄贈され、市の維持管理のもと、一般公開され現在にいたっています。
建物は創建時の形態をよく伝えていますが、移築の際には正面玄関が付加され、祭壇背後の下屋も拡張された形跡がみとめられます。木造瓦葺平屋建、窓がポインテッドアーチ型である点を除けば、外観は一見全くの和風建築です。内部は三廊式、板張りのリブ・ヴォールト天井による空間構成、ゴシック風祭壇など、本格的な教会建築様式となっています。当時の教会建築の様子を知るうえで、歴史的に貴重な建造物であり、1999年(平成11年)5月13日、国の重要文化財に指定されました
。(以上 五島市ホームページより)

旧五輪教会の中に入ってみました。五島の教会は全般的に聖堂内は撮影不可なのですが、こちらの旧五輪教会は教会としての機能は新五輪教会に移り、現在は宗教儀式を行っていないので、撮影が可能な貴重な場所です。


外観は和風建築なのに聖堂内に入ると様子は一変。天井は、他の教会と同様、リブ・ヴォールトと呼ばれるアーチ状(板張り4分割)です。


祭壇中央はイエスを抱くヨセフ


祭壇の左脇はイエス


祭壇の右脇はイエスを抱くマリア
このイエス、マリア、ヨセフの配置は教会ごとに異なっていました。
そこにどんな意味があるのでしょうか? 今後要調査です。


聖堂の側壁上部には、他のほとんどのカトリック教会と同様、イエスの生涯を描いた聖画が掲げられています。


祭壇前の仕切り


その仕切りの透かし彫り模様には「I,H,S」の文字が図案化されて彫りぬかれているものと思われます。当ブログ記事(殉教の旅(1)ー鎌倉に残る隠れキリシタンの跡)でも記した通り、Ihsouz Xristoz(イエス・キリスト)の最初の三文字。後にラテン教会でIesus Hominum Salvator「人類の救い 主イエス」の略称となった例の図案と共通したものでしょう。(あくまで私見です)


告解室(懺悔をする部屋)
告解(懺悔)とは、司祭に罪を告白して神の赦しを得ること。司祭は神の代理人として、信者の告白に耳を傾け、神の名において赦す権限が与えられているのだそうです。この写真は司祭(神父)が座る側と思われます。この素朴な告解室で、漁師の信徒が、どんな罪の告白を行っていたのでしょうか……。



ポインテッドアーチ型の窓
 ※ポインテッドアーチ(尖頭アーチ)とは、ゴシック建築に特徴的な、先端が尖ったアーチのこと。
上部の図案が、どうしても「丸に十字」の島津の家紋にも見えてしまいます。島津家紋はキリスト教と無関係と言われていますが……。ナチスの鉤十字(ハーケンクロイツ )と寺の地図マークが同形異義なのと同じでしょうか?


窓を開ければ~ 港が見える~♬


教会の前は漁港。といっても、この五輪地区は二世帯の漁師だけで、その二世帯で五輪教会を管理しているとのこと。


入り江に迫る険しい山の峰に霧がかかり始めています。



我々の乗る船(海上タクシー)が待ってくれています。
ここ(五輪)から、この船で奈留島奈留港へ向かいます。(地図

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殉教の旅(4)― 長崎・五島(その8) ―  五島 中通島(青砂ヶ浦教会、冷水教会、大曽教会、中ノ浦教会)

■殉教の旅(1)(2)(3)

殉教の旅(1)ー鎌倉に残る隠れキリシタンの跡ー
殉教の旅(2)― 東慶寺に残るキリシタンの痕跡 ―
殉教の旅(3)― 澤田美喜記念館 ―

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