私はこれまで、毎年、終戦の日にちなみ、戦争の理不尽についてブログを書いてきました。また、「戦争を語り継ぐ」ことをライフワークのひとつと考え、戦争に関わる小説も書いてきました。しかし、今年ほど、そうした自分の営みに無力感を覚えることはありません。
世界を見れば、戦争は無くなるどころか、ますます泥沼化しています。そして日本国内に目を向けても、戦争や軍事力に対する社会の空気が、少しずつ変わってきています。戦争反対を叫んだり、戦争は嫌だという感情だけで、戦争を防ぐことはできないでしょう。戦争を防ぐためには、外交や安全保障について冷静に考え、現実的な方策を探らなければならないことは事実です。それでも私は、「戦争は絶対に起こしてはならない」という強い思い、その思いが社会の中で薄れたとき、私たちはいつのまにか戦争への道を歩み始めてしまうのではないかと思います。
今年は、例年のような私自身の主張を控え、この1年、世界と日本で起きた変化を時系列で追ってみました。これからのことを考えるために……。
この1年のこと
2025年
8月15日
米露首脳会談(アラスカ)。トランプ大統領とプーチン大統領がウクライナ戦争終結を協議。停戦そのものより、ウクライナの領土問題・和平条件が中心となる。
9月21日
英国・カナダ・豪州・ポルトガルがパレスチナを国家承認。
ガザ戦争をめぐりイスラエルと欧米諸国の亀裂が拡大。
10月4日
高市早苗氏が自民党総裁に選出。
防衛・経済安全保障などでより積極的な政策を掲げる政権への転換が始まる。
日本の安全保障政策が明確に「防衛力強化」の方向へ向かう。
10月10日
イスラエル・ハマス間のガザ停戦が発効。
イスラエル軍が一部地域から撤退し、住民が帰還開始。
10月21日
ガザ停戦後、米国は次のウクライナ和平に注力する姿勢。
高市早苗氏が第104代首相に就任。 日本初の女性首相。
10月22日
高市首相が2022年策定の国家安全保障戦略など「安保3文書」の見直しを指示。
10月31日
高市首相と中国の習近平主席が会談。日中関係安定を確認。
11月7日
高市首相が国会答弁で「中国による台湾への武力攻撃」の状況によっては、日本の「存立危機事態」となり得るとの趣旨を発言。
11月中旬
中国が高市首相の台湾に関わる発言を問題視し、日中関係が急速に悪化。
12月10日
米露の最後の核軍備管理条約「新START」が2026年2月に期限切れとなることが問題化。
12月15~16日
中国が高市首相の台湾発言撤回を要求。
12月18日
高市政権で安全保障政策を担当する首相官邸幹部が記者団の非公式取材に対し、「日本は核兵器を持つべきだ」と個人的見解を述べた。
2026年
1月19日
高市首相が2月8日の衆院選を表明。防衛・経済安全保障も争点に。
防衛力増強政策についても国民の信任を問う選挙となる。
1月26~27日
高市首相が「台湾有事で日米同盟を無視すれば同盟が崩れる」と発言する一方、以前の存立危機事態発言については、「今後は特定のケースの想定をこの場(国会)で明言することは慎む」と発言自体の撤回は拒否したものの、今後は同様の具体的なシナリオへの言及を控える方針を示した。
2月8日
衆院選で高市政権が大勝。
高市政権が、防衛費増額・対中抑止などの政策を進めるための政治的基盤を獲得。
2月20日
高市首相が安保3文書改定、情報機能強化、防衛費2%、防衛装備移転拡大などを表明。
2月24日
中国が日本企業20社を輸出管理対象に追加。
背景には台湾をめぐる日中対立がある。
2月28日~3月
米国・イスラエルがイランを大規模攻撃。イラン戦争開始。
イスラエルと米国がイランを攻撃し、イランがイスラエル・米軍基地などを攻撃。
※当ブログで作成した風刺漫画
3月9~10日
米・イスラエルによるイラン攻撃が激化。
イランはホルムズ海峡の封鎖を示唆。
3月17~20日
イラン戦争が拡大。
トランプ大統領が日本に対してイラン戦争への対応を求める動き。
高市首相は日本国憲法の範囲内での対応を検討すると表明。
3月18日
米国家情報長官室が、台湾有事が存立危機事態になり得るとした高市首相の国会答弁を「重大な転換」と評価。これに対し日本政府は、従来の立場を変えるものではないとしてその評価を否定・反論している。
3月18日~21日
高市首相が米国を訪問し、トランプ大統領と会見。
会談で首相は、トランプ米大統領に対し「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ」と述べた。
4月21日
政府は、防衛装備品の輸出ルールを定める防衛装備移転三原則および運用指針を大幅に改正し、従来の「5類型」に限定していた完成品の輸出制限を実質的に撤廃。これにより、安全保障上のパートナー国に対して殺傷能力のある武器を含めたすべての完成品の移転を原則として可能にした。
6月上旬
米・イスラエルとイランの戦闘が再燃。
6月8~9日
イランとイスラエルが攻撃停止を表明。 ただし完全な和平ではなく、停戦は不安定。
7月上旬
米・イラン戦争が再燃。米国がイランを攻撃し、イランが米軍基地などを攻撃。
7月17~22日
小泉進次郎防衛大臣は、核兵器について「あらゆるタブーなく議論しなければならない」と述べ、安全保障における核戦力の議論の必要性に言及した。
(7月24日: 記者会見で一連の発言は「防衛政策に関する一般論」であり、あらゆる選択肢を排除せず議論していくことが重要だという趣旨だったと釈明)
8月4日
防衛省は「令和8年版防衛白書」を公表。中国が台湾周辺などで軍事活動を活発化させていることに強い警戒感を示した。これに対し中国外交部が5日に日本へ厳正な抗議を行うなど反発を強めた。

8月6日
広島での平和祈念式典の挨拶で、高市首相は「我が国は、非核三原則を堅持しており……」と現状を表明したのにとどめた。歴代首相が「非核三原則を堅持してゆく」と将来に向けての意志表明をしてきたことから転換。
8月13日
国旗損壊罪が施行。
※当ブログの記事「国旗損壊罪という法律(1)」
そして、この1年を通してウクライナへのロシアの侵攻が続いています。
これまでの「終戦の日」記事
過去の戦争を題材にした森園知生の小説
小説『南の海から聴こえてくる』

大津島を訪ねた時の想いを小説『南の海から聴こえてくる』に書きこみ、当ブログに掲載しました。(無料で読めます)
『南の海から聴こえてくる』はコチラ
小説『ひぐらしの啼く時』

この小説も人間魚雷「回天」が重要なモチーフになっています。鎌倉時代の和田氏と三浦氏、人間魚雷「回天」、ひぐらし……。時空を超えて展開してゆく物語……と、少し説明が難しいので、読んで感じていただくしかありません。
『ひぐらしの啼く時』 はコチラ
(紙の本、電子書籍いずれもご用意しております)
国立国会図書館はコチラ
小説『竜の棲む岬』

鎌倉の稲村ケ崎に、人知れず存在する特攻隊基地の跡。
海底に潜んで敵艦を攻撃する伏龍特攻隊を題材にした物語です。
『竜の棲む岬』はコチラ
(紙の本、電子書籍いずれもご用意しております)
国立国会図書館はコチラ
















