■大河ドラマ「鎌倉殿の13人」と映画『ゴッドファーザー』
「鎌倉殿の13人」のロゴが決まった、というニュース発表がありました。
「鎌倉殿の13人」の番組ロゴ
私は、かねてから、三谷幸喜さんは「鎌倉殿の13人」を映画『ゴッドファーザー』のように描くのだろう、と想像していました。そして、ロゴ発表を見て「やっぱり」と思ったしだいです。
映画『ゴッドファーザー』のロゴ
三谷さんご本人も、制作発表の時、『ゴッドファーザー』を意識、リスペクトされているようなコメントを出しておられましたが、おそらく、そのコメント以上に色濃く『ゴッドファーザー』が作品の中に溶け込んだものになると、私は予想しています。
主役の小栗旬さんのポートレートを見ても……。
どうです? このクールなショット。これって完全にマイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)を意識していると思いませんか?(ご本人が意識しているというより、プロデューサー、カメラマンが要求して撮っている)
マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)
ふつう、大河の主役ポートレートは華やかに撮るところを、敢えて「陰翳」を強調した写真になっています。小栗旬さんのこのポートレートを見た時、私はピーンときました。
「鎌倉殿の13人」クランクインのニュースでも「最初、主役の義時は目立たない存在」、「どの局面からスイッチが入るのか?」と紹介されていました。それって、大学を出で従軍し、まじめな若者だったマイケルがファミリーのしがらみの中で冷徹なボス(ゴッド)に変貌してゆく、悲哀をおびた描き方の序章でしょう。
青年時代のマイケル
クランクイン時の北条義時(小栗旬)
貫禄がついて、冷徹さと陰翳をおびだしたマイケル
「ファミリー」は「家」であり「氏」です。北条氏はコルレオーネ家でしょう。弱小だった北条氏がやがて幕府を掌握する存在になってゆく。その過程では、(止む無く?)13人の御家人(他のファミリー)を粛清してゆく。そんな物語を、最初は三谷流にコミカルタッチを交えながら、やがて冷徹で悲哀をおびた執権、北条義時(ゴッドファーザー)に成ってゆく……。
スイマセン。私の勝手な想像で、ドラマが始まれば、三谷マジックにあっさり裏切られるかもしれません。何を隠そう、「鎌倉殿の13人」を予想しているというより、もし私自身が脚本を任されたら、そんな風に描きたいな、という願望でもあるのです。
しかし、先日、連載を終えた私の小説『春を忘るな』に登場する北条義時は、マイケルとは違う人物像を描いています。義時、実朝、公暁が「13人」で、どのように描かれるのか、じつに楽しみですが、ドラマが始まる前に『春を忘るな』をご覧いただければ嬉しく存じます。